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コラム

グローバル

中国工場運営のポイント~意識と考え方の違いをマネジメントするためには~

製造業で中国工場運営に携わる皆さん、中国での生産管理や労務管理、工場運営の秘訣を、中国で8年間にわたり中国駐在員事務所および中国現地法人設立、運営を行い、中国における製造業向けITサービス提供の事業に携わった経験をもとに、お伝えします。
唐突ですが、皆さんは生産管理と製造管理の相違を意識したことあるでしょうか?何となくあまり区別意識無く普段は口に出しているが、そう言われると、生産管理のほうが、製造管理よりイメージ的に広い気がしていませんか。

JISによる生産管理の定義は

実は日本工業規格(JIS)によれば、「生産管理」は以下のように定義されています。
・JIS 8141 生産管理用語1215 生産管理
・財・サービスの生産に関する管理活動
・英語:production management

備考
1.具体的には、所定の品質 Q(quality)・原価 C(cost)・数量及び納期 D(delivery, due date)で生産するため、又はQ・C・Dに関する最適化を図るため、人、物、金、情報を駆使して、需要予測、生産計画、生産実施、生産統制を行う手続き及びその活動
2.狭義には、生産工程における生産統制を意味し、工程管理ともいいます。
ところがなんと「製造管理」は定義されていません。敢えて言えば、「製造管理」は上記の備考2の狭義にほぼ相当するのではないでしょうか。

薬事法のGMPでは

一方で、日本における医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に関する運用などを定めた法律である「薬事法」の「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成十六年十二月二十四日厚生労働省令第百七十九号)(注:所謂GMPです)の第十条には「製造管理」として実施すべき業務が示されています。

中国での生産管理は

中国での生産管理中国工場拠点で現地のスタッフを前にして「生産管理がー」、「製造管理がー」と日本語で言っても、彼らには喋っている日本人管理者の説明意図の区別がつくはずも無く、どうせ、中国語でも「生産」と「製造」の厳密な区別はありませんので気にしないです。例えば、「製造年月日」は「生日期」ですし、「製造原価」は「生成本」です。

そもそも、「生産管理」や「製造管理」の内容自体に対する規格など存在せず、一種の手法技術として各企業単位で長年にわたり発生、発達したものです。無論、その内容として線形計画法、統計学などが個別手法技術に取り入れられた結果、それらの集大成としての「生産管理」「製造管理」に関する書籍が日本では多数出版されています。よって日本では、従業員にその素地を高めるテキストが豊富に存在しますが、中国ではその類の書籍がほとんど無いのが現状です。

中国での工場運営のためには

翻って、中国工場内では、自社の「生産管理」「製造管理」内容を明確に記載したドキュメントに従い、教育しなければなりません。日本国内における日本人従業員に対する曖昧が許容される接し方では中国工場運営は成り立たないことは、既に現地で工場運営を経験されている日本人管理者の方は身に染みておられるはずです。
また、日本側工場の「生産管理」「製造管理」の適用レベルが中国側工場の運営管理にはそぐわないことが多々あることも承知されているはずです。その根本原因は工場生産ラインのレベルの差もありますが、労働者の意識、考え方の差によるものが多いのです。
よって、如何に「管理」の内容を厳密に手順書に記載し、理解させ、実施させるかが、中国における「生産管理」の要となります。よく「性善説」と「性悪説」の議論がありますが、日本以外の外国諸国では「性悪説」に準じた労務管理が必要となります。無論、全ての人々に当てはまるわけでは無いですが、存在比率の差異により、その結果が大きく異なってきます。

例えば、棚卸し作業の際に計算在庫表を持たして実施させると、極端に言えば既に答えが書いてあるとの受け取り方をする人間も出てくるわけです。
また、入出荷の際に入出荷データを記入または入力作業が発生する場合、間違いを起こさないように指導を繰り返して行っても、その担当者が辞めてしまえば元の木阿弥になります。そのため、日本では導入しないような規模の倉庫であっても、バーコードシステムを投入したほうが、結果的に効率が良くなることがあります。結局は、中国においては、人為的ミスを現場教育推進によって抑えるよりも、如何にシステム化していくがポイントになるということです。

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