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コラム

グローバル

グローバルビジネス・コミュニケーションの秘訣 イタリア編

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グローバルビジネスを成功するためには、各地域、各国の歴史文化ならびに社会構造を理解しておくとスムーズに対応できます。僅かな期間のイタリア滞在でしたが、イタリア工作機械メーカーにシステム導入した経験をもとに、歴史、南北問題、隣国関係を紐どきながら、イタリア圏での仕事のやり方、コミュニケーションの秘訣の一端を紹介致します。

ローマ帝国

ローマを訪れた経験がある人であれば、バチカン大聖堂、フォロ・ロマーノなど、スキピオやカエサル、アウグストゥスのローマ帝国の威容を感じずにいられないと思います。ロンドンのバッキンガム、ニューヨークの摩天楼は、後世のローマ帝国の再現ですが、本家本元はやはりすごいと圧倒されます。
一方、多くの日本人にとって、イタリアは、第二次世界大戦での日独伊三国同盟の仲間だけど、最初に降伏した国だとか、女性を見れば必ず口説くとか、パスタとピザとワイン三昧、あまり仕事熱心ではない印象があり、ラテンという言葉は、いい加減と同義語と一般的に思われて、私もイタリアで仕事をする前はそう思っていました。
そのようなことから、カエサルの時代のローマ帝国と現在のイタリアは、そもそも人種が違うと唱える人もいます。
私は、カエサルの世界帝国時代とは違う現在のイタリアに工作機械の自動化ラインを作るということで、日本の工作機械メーカーの方々とトリノで仕事をしました。

まず、3人のイタリア人担当者と我々の関わりからイタリアというものを説明します。
3人のそれぞれの人柄は、次の通りです。
・リーダーはSさん、フランス人のようにシステム仕様に厳格で怒りっぽいリーダー。
・Oさん、陽気な我々が想像する典型的イタリア人。夜の食事、休日の観光など甲斐甲斐しく世話してくれました。
・Kさん、これも典型的なイタリアン。Oさんほど陽気ではないが、気さくで冗談ばかり言う人でした。

我々は、システム設定と現地調整が主な役割で、イタリア人はシステム運用を引き継ぐ立場でした。Sさん以外は、やはりイタリアンで、説明してもYES、YESの連発で理解しているのかどうか判りません。お前たちがしっかりチェックしてくれれば、システムは問題ないよねというラテン体質。駄目だよと思いつつも、Do in Rome as Roman’s do.と言い聞かせて対応しました。
しかし、Sさんは終盤で他の2名が頼りにならないと判断したようで、ある日突然、我々に対して、Sさん自身に引き継ぐように強権発動し、引継がなければ日本に戻さないと宣言しました。
哀れ、我々の仲間1名は、引継ぎ説明の為だけに2ヶ月滞在を延長する羽目になりました。カエサルはいなくても、ミニカエサルは、やはり現在もいるのです。

南北問題

イタリアを語るとき、南北問題は必ず話題になります。即ち、ミラノ、トリノ、ジェノバの黄金デルタに代表される北の工業地帯と、ナポリに代表される産業の少ない南部の関係です。
北はフランス的でビジネスにも厳しくお金持ちも多い、南は産業も少なく所得の少ない人たちが多く治安も悪い。サッカーで例えるとユベントスとナポリのようなもので、片やチームプレー、片やマラドーナに代表される個人技の気質と言えます。
我々のビジネスも北部でしたが、シエスタとワインをこよなく愛する南部では、製造業に関わるビジネスチャンスは少ないのではないかと想像します。
各分野に世界的なメーカーが多いイタリアですが、そのほとんどが北部に拠点をもっていることから、ビジネスを考えるとフランスと同じと捕らえるべきと思います。

フランス、ドイツ、イタリア

ヨーロッパは陸続きで隣国に移動できるので、国外に行くという感覚は、日本人とは違いますが、しかし明確に自国と隣国の違い、優劣を一般庶民のレベルで認識しています。
イタリアでは、前述のO君が色々な話をしてくれましたが、「ドイツ人は馬鹿だ。人生の楽しみ方を知らない」としきりに言っていました。即ち、イタリア人はドイツ人より優秀であるとの論法です。
一方、ニースのフランス人は、「イタリア人は、レベルが低い。あの国に機械産業など可笑しい。」と明らかにイタリア人蔑視でした。即ち、フランス人はイタリア人より優秀であると言うのです。
ドイツに行ったときに話しをしたドイツ人は、フランスやイタリアの悪口は言いませんでしたが、「工業製品が物語っているでしょ。ドイツがフランスの風下に立つかよ。」と態度で語っていました。
独仏伊は、ジャンケンのグーチョキパーの関係です。そもそも、隣国同士で仲がいいなんてのはあり得ないという説もあるので、この三国の関係を思えば、東洋の三国関係も深刻になる必要がないと思います。

イタリア人からの質問:日本人の生きることの意義とは?

これがイタリア!イタリアで担当者にしきりと言われたのは、「日本人は何が楽しくて生きているのか?」ということでした。彼らは、「我々は楽しいことが一杯あり、その為にこの工場で我慢して働いているのさ。日本人は、工場で仕事をするのが嬉しいようだけど、可笑しいよ」と言うのです。
システム検証の最中に、Kさんから「明日から、イスタンブールにバカンスだから、引継ぎできないよ。」と言われたときには、「これがイタリア」と思ったものです。
週末は、きっちり休んで田舎の自宅に帰る。バカンスはきっちり取る。いくら工場建設の終盤でも、契約は18時までだから帰る。契約社会だから、これは欧米共通だが、けろっと陽気にノタマウのがイタリア人。ホテルのルームサービスが掃除をして電気ガスコンロを消さずに放置し、帰宅したら部屋中煙だらけでも、「ソーリー。何とかするから、そう怒るな」と意に介さない。
「日本人よ、そんなことでカリカリするな。人生は、いいこと一杯ある。陽気にやろうぜ。」ということを、教えられたイタリアでの仕事でした。

イタリアの会社と仕事をやる方への推奨アクション

イタリアの会社と仕事をやることになった方、以下の心持ち、アクションを推奨します。
1.陽気なイタリアンに惑わされるな。契約重視は、アメリカ、イギリスと同じ。
2.プライドを擽れ。ローマ帝国の末裔という自尊心を傷つけてはならない。
3.日本人には親切なので、日本のいいところを大いにアピールしよう。
4.残業しない。休みはきっちり取る。バカンスは長い。それでも怒ってはいけない。これがイタリアさと笑い飛ばすこと。

大塚 博文
大塚 博文
ビジネスエンジニアリング株式会社
東洋エンジニアリング(株)を経て現在はビジネスエンジニアリング(株)にて中国上海子会社のERPビジネス展開を担当。主な経験分野は、FMSシステム構築、CADCAMシステム構築、制御システム構築、生産管理、原価管理システムの構築導入を経験。主に、関西地区での活動を経て、2012年から中国上海を拠点に活動中。