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コラム

グローバル

グローバルビジネス・コミュニケーションの秘訣 シンガポール編

シンガポール現地法人にて、ASEAN地域における各種ITシステム構築の提案・導入支援を行っています。グローバルビジネスの生産拠点および市場として注目度の高いASEAN地域の中核都市であるシンガポールにおける、シンガポールの人々とのビジネスコミュニケーションについてご紹介します。

シンガポールはどんな国?

シンガポールは、国土が東京23区とほぼ同じ、人口は520万人と非常に小さな国ですが、一人あたり名目GDPは52,000USドルでアジア第1位、世界でも第10位にランキングされている豊かな国です。(日本は47,000USドルでアジア第2位。)
人口520万人のうち、国民は約330万人、残りの190万人は外国人で永住者と私たちのような長期滞在者ということになります。

人口の35%を外国人が占めているだけではなく、シンガポール国民自体も中華系・マレー系・インド系と様々で、多民族国家となっています。

複数の“英語”

人種のるつぼともいえるシンガポールでは、英語・標準中国語・マレー語・タミル語の4ヶ国語が公用語とされており、駅の表示や紙幣の表記は4ヶ国語で記載されています。
そんな中でも共通語として機能しているのはやはり英語です。現在のシンガポールの教育は英語中心で行われているため、一部の年配の方を除いて、大半は英語が理解できます。
ただし、シンガポールでは複数の“英語”が使われています。有名なのはシングリッシュと呼ばれるシンガポール人独特の英語です。語尾に“ラー”を付ける(例:OKラー、Noラー)、主語を省く(例:できます → Can!、できません → Cannot!)、跳ねるような発音(例:Word → “ワッ”、Car Park → “カッパッ”)、など、ちょっと変わっています。
また、マレー系の人はマレー語の単語が混ざった英語(例:食事に行きます。→ I go makan. “makan”はマレー語で”食べる“の意。)を話していますし、インド系の人は巻き舌が強く“th”を”t“や”d“に発音するような英語を話しています。
家族や友人との会話では母語(中国語、マレー語、タミル語)を使い、仕事などの公の場や母語が通じない相手との会話では英語を使う、という生活をしているため、それぞれが特徴のある別々の”英語“を話しているのです。
私もシンガポールに来た当初は、シンガポール人の英語は分かりづらいなと思ったものですが、こんなことを書いている私を含めた日本人も、カタカナのような発音で、単語と単語をなんとか繋げて独特の英語を話していますよね。たしかにシンガポール人は特徴のある英語を話してはいますが、文法的に正しくなくても、発音が正しくなくても、実用的で意味が伝わるように話しているのです。正しい文法・発音で英語を話せればそれはそれですばらしいことですが、それは東南アジアでは必ずしも求められるわけではなく、相手に伝わるように話せればそれで充分なのだと感じます。

シンガポール人の特徴

シンガポール人の特長シンガポールは平和で清潔な国であることは有名ですが、実際に住んでみても外国人にとってとても住みやすい環境だと感じます。このような環境は、ゴミのポイ捨てや電車内での飲食に罰金が科せられたり、治安を乱す特定の罪に対して「むち打ち刑」が処せられたり、政府が国民を厳しく統制していることで成り立っています。多民族から成る国民を管理して、資源のない小国を先進国に押し上げるために、そのような厳しいコントロールが必要だったと言われています。言い方を換えれば、ガチガチの規則がないと規律を守れない国民性だったということです。
しかし、逆の見方をすれば、政府から与えられた規則に頼ってはいるものの、きちんと秩序を保って平和で清潔な国を維持していける、それだけの知性や理性を持っていることがシンガポール人の特徴だとも言えます。

ビジネスの場面でも、シンガポール人はお金に関してシビアな面はありますが、異常なほどの無理難題や信じられないおかしな事態が起こることはあまりなく、いわゆる常識の範囲内でビジネスができる環境だと感じます。
シンガポール人は国内外で高度な教育を受けている人が多いので、ビジネスの場面では優秀なシンガポール人と接することが多いのですが、仕事の「質」という意味では、見積書の前提条件が抜け漏れだらけだったり、締切が守られないことがしばしばあったり、アジア特有の「いい加減さ」をよく感じます。しかし、いちいち怒ったりイライラしていたらキリがありませんので、それが当たり前と思ってその環境・人に合わせた接し方をすることが大切です。

シンガポールのビジネス環境

最後にシンガポールのビジネス環境について、シンガポールがASEANの中核都市として機能している主な理由をご紹介します。

1つ目の理由は、空と海の両面で人とモノの流れのハブとなっている点です。
チャンギ空港は、世界有数のハブ機能を持ち、ASEAN第2位の旅客数・利用者数とASEAN第1位の貨物取扱量を誇っています。また、世界中の200都市・60カ国以上と就航しており、ASEAN主要都市には毎日複数の直行便が飛んでいて、どこでも2~3時間以内で行けるのでたいへん便利です。
シンガポール港は、太平洋とインド洋を結ぶ地の利を利用して世界第2位の取扱高を持っています。また、世界に先駆けてIT化を推し進めた港湾で、通関申告、納税、通関許可などの手続きが全てオンラインで実施でき、電子申告の割合はほぼ100%となっています。貨物全体の95%を占める特別な審査・承認の不要な貨物は3分以内に、ほとんど全ての貨物が30分以内に許可され、船舶到着の翌日にはほとんどの貨物が搬出されています。また、トラックのコンテナヤードへの入場に関しても、車載機のICカード、画像認識したコンテナ番号、トラックの重量、ドライバーの指紋またはIDカードを認識・処理し、わずか25秒で入港手続きを完了できるフロースルーゲートというシステムを整備するなど、徹底的に物流の迅速化を進めています。

2つ目の理由は、世界中から企業が集まってきているという点です。そもそも法人税率が17%と低く抑えられているのに加えて、シンガポール政府は各種の税制優遇措置を提供して、優良な企業を世界中から集めようとしています。主な税制優遇措置としては、国際統括本部や地域統括本部をシンガポールに設置する場合の軽減税率、国の経済発展計画に適合するサービスを提供する企業に対する法人税減免措置、などがあります。
加えて、人件費の高騰や反日運動などの「チャイナリスク」によって多くの日本企業が生産拠点のASEAN地域へのシフトを検討・実施しており、また近年はインドネシア、フィリピンなどのASEAN各国が市場としてもますます注目されてきているため、シンガポールの重要度はますまず高まり、販売・営業・統括拠点として日本企業がますますシンガポールに進出してくることが予想されます。

シンガポールおよびASEAN地域において、日本企業の皆様をご支援させていただけるのを楽しみにしております。

山下 元士
山下 元士
Toyo Business Engineering Singapore Pte. Ltd.
1999年よりビジネスエンジニアリング(株)にて、日本企業の海外展開に伴うERP導入プロジェクト、海外企業の日本へのERP導入プロジェクトを担当しました。 2009年より同社シンガポール現地法人にて、ASEAN地域における各種ITシステム構築の提案・導入支援を行っています。