B-EN-Gが最先端AIに挑む!「SAP BTP Hackathon 2026」参戦記 第3回:準備編~「自動化」から「自律型AI」へのパラダイムシフト~

ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の「SAP BTP Hackathon 2026」参戦記、第3回をお届けします。
前回は、デザインシンキングを通じて「ハッカソンで何を作るか」のアイデア出しを行う様子をお伝えしました。
今回は、いよいよ本番の課題が与えられる前の準備フェーズです。SAP社のワークショップを受講しながらユースケースを詰めていく中で、メンバーたちが直面した「高い壁」と、そこから生まれた「発想の転換(パラダイムシフト)」、そして本番を目前に控えた率直な気持ちをお届けします。
まさかの事態!想定アイデアがすでにSAPからリリース!?
デザインシンキングを経て、いくつか有力なアイデアをハッカソンの5つの評価軸で自分たち自身で採点しました。
実現に向けて注力すべきアイデアとして挙げたのが、経理・財務担当者を助ける「支払処理サポートAI」でした。

意気揚々とこのアイデアで進めようとした矢先、思わぬ事態が発生します。なんと、SAP社から直近(2026年5月)で、チームが考えたものと目玉となるポイントが被っているAI機能がリリースされたことが判明したのです。 これにはメンバーも「これをHackathonの開発対象にはできない…」と頭を抱えました。
しかし、先輩からはこんな温かくも力強い励ましの言葉をもらいました。「標準でも作るようなものをポイントも外さずに思いついたということは、着想は悪くないということです。むしろ誇っていい」 さらに、「今までだったら例外パターンが多すぎてアドオン化できなかったようなものを、エージェントでうまく埋められるといい」というアドバイスを受け、チームは再び前を向きました。
「処理の自動化」か、「自律型AI」か。立ちはだかるAIの壁
気を取り直して新たなユースケースの検討を進めるチームでしたが、社内レビューの中で、さらに根本的な課題に直面します。
それは、「なぜプログラムを書くのではなく、AIを使う必要性があるのか?」という問いです。
単に人手を省いて処理を自動化したいだけなら、プログラムのロジックを組めば事足ります。求められているのは、プログラムによる「自動化」のレベルではなく、Joule Agentをはじめとする「自律型AI」ならではの価値を引き出すことでした。
全部自動化で考える。人でなければできないと思っているところも、多方面から考えれば自動化できる。それでもできないことや、責任が発生する箇所は人を介在させる。つまり、人でなければできないと思っているところにこそ、AIを活用する価値の可能性がある。人が介在することありきの発想を捨てなければならない。
レビュー後、メンバー同士で議論を交わした中では「想定しうる会話パターンを全て自動化するようなプログラムと、AIは何が違うのか?昨日から差別化で悩んでいる」 「自分の中で、自動化とAIエージェントを同じ土俵で考えていると感じた」という葛藤も見られました。しかし、立ち止まっているわけにはいきません。

「パラダイムシフト:「AIを育てる」「価値を創造する」
レビューを経て、メンバーの中に劇的な発想の転換(パラダイムシフト)が生まれ始めます。
1. 「自律的」に考え、人が介入する領域をサポートする
「自動化はワークフローや各処理をあらかじめ細かく定義するのに対し、AIエージェントは自分で計画から実行まで自律的に判断・実行する点が異なる」 「『人が介在しないといけない作業』が差別化の1つの答え。どこでAIエージェントを活用させるかを考えたい」
2. 画面の概念を捨て、データモデルの価値に向き合う
メンバーは「画面を考える必要はない」という衝撃的な気づきも得ました。先輩から、2026年5月に米国で開催されたSAPのフラグシップイベントSAP Sapphireで発表された「Joule Work」※ について紹介があり、今後は画面を見ずにAIと会話するだけであらゆる業務が完結する——そんな世界観がいよいよ現実のものになっていくので、その前提で考えたほうが良いと指摘があったからです。※Joule Workについての情報はSAP社のページをご覧ください。こちら
人が画面を見るのではなく、データモデルを理解し、その価値をAIを通じて提供していくことこそが本質だと気づいたのです。
3. 「コンセプトは、とことんでっかく!」
悩み抜いた末、「AIの世界観と技術革新のスピード感において、『今の技術で実現可能性を議論』することにほとんど意味はない。コンセプトは、とことんでっかく!」「1週間では作りきれないという制約があったとしても、描いたコンセプトには十分価値がある。ゴールは『アプリケーションをつくりあげる』ことではなく、『価値を創造』することにセットしよう」とチームは高い目標を掲げました。
いざ、本番の1週間(Hackathon Week)へ!
「指示を細かく記載しないと想定した動作にならない」「動かすための設定が結構必要」といったAIエージェントを初めて触ったリアルな難しさを痛感しつつも、「Jouleと対話しながら勝手に作ってくれる(Vibe Coding)」という凄さに純粋に感動するメンバーたち。
SAPからリリースされてくる最新情報をキャッチアップし、この先、SAPをはじめ広く技術とその使われ方の予想をしてみる、自分なりにとらえてみる、という大切さも知り、自分たちが変化していく必要性に改めて気づきました。
紆余曲折を経て、「何を作るべきか」「AIエージェントの真の価値はどこにあるのか」という目線が揃ったTeam-Sozo。 いよいよお題が与えられ、最先端の技術を用いて実際に組み立てていく怒涛の1週間、本番のバーチャルハッカソンが幕を開けます。
「もがき苦しんだ準備期間」は、間違いなくチームのステージを引き上げました。次回のレポートでは、いよいよ本番期間中の白熱した開発の様子をお届けする予定です。お楽しみに。


