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ISO13485 医療機器GMP 規定解説

ISO13485 医療機器GMP 規定解説

ISO13485とISO9000についてその由来を理解するとともに、医療機器GMPとバリデーションを理解するための方法についてのヒントを示し、これらの規定に関連した国際協調活動や現在の位置づけと将来の展望を紹介します。

ISO13485 医療機器GMP 規定解説~品質監視システム 過去・現在・未来~

医療機器における品質に関する規制や標準として、大別すると米国における21 CFR 820(QSR:Quality System Regulation)と日本および欧州におけるISO13485がある。
日本では薬事法のもと、ISO13485の内容を加味し、法制化した厚生労働省第169号「医療機器・体外診断用医薬品に関する省令」(QMS省令)が制定されている。
ここでは、よく話題となるISO13485とISO9000についてその由来を理解するとともに、医療機器のGMPとバリデーションをよりよく理解するための方法についてのヒントを示す。また、これらの規定に関連した国際協調活動や現在の位置づけと将来の展望について私見を紹介する。

医療機器におけるGMPとQSRの用語について

歴史的に21 CFR 820は1978年にGMP Regulationとして発行された。21 CFR 820の歴史
1996年、品質マネジメント項目が追加されQuality System Regulation(QSR)として再発行された。ここでいうQuality Systemとは今でいうQuality Management Systemである。
以後、医療機器のGMPは米国ではQSR、米国以外ではQMSと呼ばれている。

ISO13485、ISO9000とバリデーションの理解

インターネットを検索するとISO13485とISO9000の類似点と相違点についての解説がよく見受けられる。
筆者の経験では、多くの場合、内容は間違いではないがこの2つの比較の理解のみでは医療機器のGMPとこれに関連したバリデーションがよくわからないと思われる。
このために歴史を振り返り、バリデーション理解の一助とする。

ISO13485、ISO9000、QSRの生い立ち

ISO13485はもともとISO9000から派生している。但し、ISO9000は認証を獲得するのは任意であり、活動も法規制対象ではない。

これに対しISO13485は法規制対象を前提としたISOの中では極めて異例な標準であり、対象も医療機器に特化したものである。

医療機器のGMPに関連してはGHTF(Global Harmonization Task Force)という団体が国際的な標準化活動を推進しており、米国、欧州および日本の規制機関および民間団体等が標準化活動を推進していた。
GHTFは医薬品のICH(International Conference on Harmonization)と同様の活動を行い、特にISO13485:2003の制定推進のほか、いくつかの医療機器関連の標準化活動を実施し2012年解散している。なお歴史的には医療機器のGMPの規定としてはFDAのQSRが古く、影響力も大きい。

米国はISO13485の制定にあたり、自国のGMPであるQSRとの整合のためかなり強い意見を出しており、それゆえ米国はISO13485をQSRと同等と認めるものの、自国のQSRがあくまでも米国の規制である。
ISO13485はISO9000の構造は借りているが従来のISOの意味合いとかなり異なるものである。
これがいくらISO9000を読んでもISO13485が分かりにくい理由である。

したがってQSRを理解することがISO13485の理解を高めるのは言うまでもない。
一方GHTFも国際協調のためにISOとの協力を推進し、ISO13485の重要な概念や用語の統一を試みている。
プロセスバリデーションについての定義やIQ,OQ,PQの定義もGHTF発行のProcess Validation Guidance(2004)によってなされている。
ISO13485を基本とする日本としてはこれを採用するのが適切であるかもしれない。

ISO13485とGMP

ISO13485とISO9000におけるバリデーションはもともと妥当性検証という概念を引きついでいる。
ところがGMPでいう「バリデーション」のトピックス的な意味、つまり運用を開始する前の最終的な検証という意味合いが本来乏しい。
GMPではこのバリデーションにより開発が適切になされたという検証を行い、その結果の評価に基づき、運用が許可される。
これにより運用が開始されるとプロセスはバリデーションされた状態は維持する必要がある。
これらを加味してISOの「継続的改善」は「有効性の維持」すなわちバリデートされた状態の維持となっている。
ということは「継続的な改善」は「バリデートされた状態を維持すること」と必ずしも軌を一にするものではなく、変更となるので一般的には手間がかかる(可能性が高い)ことになる。
これについては後に解説する。

ISO9000の顧客満足とISO13485の顧客満足の意味

ISO9000の顧客満足という訳は顧客の心を満たすようなニュアンスがあるが、QSRやISO13485においては、要求(仕様/要件)を満たすと考えることが重要である。
要件には明示的なもの、暗示的なものがあり、ともに実現されていることが検証されなければならない。
なお、最近は開発プロセスに要求仕様、機能仕様、設計仕様、検証などが使われるがこれらの用語の由来はシステム開発であると思われる。

QSIT(Quality System Inspection Technique)の理解の勧め

FDAは1999年査察の合理化を図るためQSITを導入した。
これはQSRに基づく査察を合理的に行うための手順、いわゆるシステム査察の手順書である。
医療機器の査察用に作成された本書はその有効性が認められ、その後医薬品におけるシステム査察のための参考書とされ、その考え方はその後の医薬品開発の新しい概念の導入にも貢献している。
QSITを具体的に理解することでFDAだけではなく、医療機器全般に対するGMPおよびバリデーションの理解に有効である。

コンピュータシステムのバリデーション

QSRにせよISO13485にせよGHTFにせよ、医療機器関連のコンピュータに関するバリデーションについては詳細が記載されていない。
医療機器の場合は医療機器そのもの(埋め込み型の医療機器など)が患者の生命に影響を与える場合があるので、ソフトウェア自体がバリデーションの対象となる場合がある。
また、医療機器を製造するプロセス、滅菌のプロセスなどのプロセス等に使用されるコンピュータ(医薬品ではコンピュータ化システムと一般的に呼ばれる)も当然バリデーションの対象である。
このようなコンピュータ関連のバリデーションについてはFDAのGeneral Principle of Software Validationが参考になる。

バリデーション概念の変遷と継続的改善

近年の医薬品開発において、特に開発手法がバイオ技術によるものでは、化学合成医薬品のようにもともと一意に決まるものではなく、運用に入ってからも管理環境の適正化などで改善の余地が多い。Quality by Design
このような場合、従来のバリデーションの概念(滅菌のように決まり切った条件を守ればよい)では必ずしも患者のために必要な医薬品をタイムリーに開発できない可能性が生じてきた。

このような背景を考慮し、医薬品では国際ハーモナイゼーションICHの活動などではQbD(Quality by Design)などの新しい概念でこれを克服しようとしてきている。またFDAも新しいプロセスバリデーションの考え方を提唱している。
これは逆にバリデーションにISOの継続的改善の考え方を取り入れてきていると見ることもできる。

リスク評価とその適用

これはヘルスケア全体に言えることであるがFDAのシステム査察に代表されるように、リスク評価を取り入れるのは最近のトレンドである。これはヘルスケアに限らず、多くの広い分野でリスクに対する対応が必要になりつつあるといってもいいかもしれない。
GMPもISO9000/13485も高度の品質の製品を作り出そうとする活動に関する標準あるいは規制であることに変わりはなく、その起源およびその目標に多少の違いはあるもののその活動が製品の品質、患者の生命の維持に重要な活動であることに変わりはない。
また、情報化、グローバル化などの流れにより、取り扱う情報の種類も量も日々増大している。
これらに迅速かつ有効に対応するには、リスク評価による重要事項の洗い出しと処理の優先は従来にも増して増加してゆくであろう。

医療機器と医薬品のGMP/ISO、その他の基準について

対象が異なり、技術上の違いはあるものの、その目的とするところは共通部分が多く、それゆえお互いが新しい概念や手法により相互に影響しながら発展してゆくことは十分考えられる。
なお医療機器には医薬品にはない電気安全という別の観点からの基準が必要である。

国際調和活動の未来 GHTFとIMDRF

GHTFは医薬品のICHに相当する医療機器の国際調和のための活動機関であり、いくつかの出版物を発行し2012年12月解散した。その後公的機関のみの団体で構成される新しい団体IMDRFが結成されGHTFの出版物を引き継ぎ、活動を開始している。これは医薬品でいうICHに相当する団体である。
GHTFの出版物に記載されている内容にはまだ見直しの余地が含まれており、IMDRFがこれらの調整を行うことで継続して国際調和活動が実施されることになる。

用語解説

GHTF (Global Harmonization Task Force )

医療機器のGMPに関連してはGHTF(Global Harmonization Task Force)という団体が国際的な標準化活動を推進しており、米国、欧州および日本の規制機関および民間団体等が標準化活動を推進した組織。2012年解散している。

IMDRF (International Medical Device Regulators Forum)

GHTFの活動、出版物を引き継ぎ、国際調和活動を推進している。

QSR (Quality System Regulation)

21 CFR 820は1978年にGMP Regulationとして発行し、1996年、品質マネジメント項目が追加されQuality System Regulation(QSR)として再発行された。それ以降、医療機器GMPについてUSではQSRと言われている。

QSIT(Quality System Inspection Technique)

FDAは1999年査察の合理化を図るためQSRに基づく査察を合理的に行うための手順、いわゆるシステム査察の手順書のこと。

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藤田 雄一
藤田 雄一
ビジネスエンジニアリング株式会社
アンモニアやエチレンなどのプロセスや原子力電力・再処理施設、遊園地などの設備の計装・制御設計を経て、ヘルスケア業界におけるPLC、DCS、MESやERPのコンピュータバリデーションを担当し現在に至る。
ISA日本支部会員、ISPE日本本部GAMP COP会員 元副委員長