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ヘルスケア

QSIT(品質システム査察ガイド)の概要と理解

QSIT(品質システム査察ガイド)の概要と理解

QSIT(品質システム査察ガイド)の概要と理解

QSITとはQuality System Inspection Techniqueの略であり1999年にFDAが医療機器製造企業の査察のために作製した査察官のためのガイダンスです。
本稿ではQSITがどのようなものであるかについて概要を解説するとともに、QSITを理解することによるQMS対象企業の査察対応の一助となればと思います。

QSITが作成された背景

監このガイダンスが作成された背景にはこの当時FDAが直面していた下記の課題に対する対応策を作成しなければならない事情があった。
・査察件数の増加
・FDAの予算や職員の頭打ちあるいは削減
このため、従来の査察の内容を損なわず、査察対応の人員や期間を減すなどの合理的対応が求められていた。

QSITの効果及び影響

結果的にはこの手法が有効であると評価され、この考え方は、医療機器のみならず医薬品製造に関わる企業への新しい査察方法(システム査察と一般に呼ばれている)の開発にもつながった。なお有効とは、短時間で、全行程の査察と同等の結果を得られることをいう。

QSITにおける医療機器製造システムの構成

医療機器の製造システムは大きく7つのサブシステムから構成される。
QSITでは黄色で示されるこのうち4つのサブシステムに注目する。

医療機器を構成するサブシステム

                   <医療機器を構成するサブシステム>
すなわち、
①マネージメントシステム
②設計管理
③是正措置・予防措置
④製造及び工程管理
である。
企業システムの全ての条項をチェックするのではなく、上記の4つのサブシステムを調査することで全ての条項をチェックするのと同等の結果が得られるのがQSITである。

なお上記に追加して是正措置・予防措置についてはさらにこの衛星プログラムとして、重大事故報告、改修及び回収報告、医療機器トラッキングが挙げられる。
製造及び工程管理については一つの工程を選択するが、QSITでは一例として滅菌工程が具体的に例示されている。

また、査察のための手順については、フローチャートにより手順の流れと確認項目が提示されている。

従来の査察との違い

従来の査察との違いは、次の通りある。
・トップダウン(ボトムアップに対して)
・記録のサンプリング(テーブルを使用)
・検査前活動(文書の要求とレビュー)
・開始と終了時のマネージメントの参加

ポイント:マネージメントは適切かつ効果的な医療機器提供を成し遂げたことを保証する。
システムを構築し、それが機能しているかどうかが、査察の焦点となっている。

査察の流れ

査察において重要視されているのはマネージメントの品質システムへの関与である。査察ではまずマネージメントの関わり方について質問される。次に、設計管理、是正措置・予防措置、製造及び工程管理と進み、最後にマネージメントシステムに戻る。
特にマネージメントの関与が重要視されている。

査察の流れ
各サブシステムの目的は、医療機器の設計、製造、品質保証、配送、設置、及びサービス提供について、品質システムが正しく機能していることを確認することにある。品質システムが効果的に機能し、問題点を発見・対処していれば、医療用具が所期の品質を発揮していることになる。

各サブシステムの査察概要

各サブシステムの査察概要は以下のとおりである。

マネージメントシステム

査察の第一の目的は、経営陣が責任を持って実効的な品質システムの運営を確保していることの確認である。従って、本サブシステムの評価は、査察の冒頭と最後の二回に亘り、行なうべきであるとされている。内容は下記の通り。

①品質方針/経営陣によるレビュー/品質監査手順書/品質計画/品質システムの手順書及び手順書:策定され文書化されているか
②品質方針及び目標:実現されているか
③組織体制:責任・権限及び資源が充足されているか
④経営責任者:指名されているか
⑤品質システム:経営陣がレビューしているか
⑥品質システム:監査されているか
⑦結論:経営責任が確立・維持されているか

設計管理

設計管理の目的は、医療機器が、ユーザーのニーズ、使用目的、及び特定の要件に合致することを、保証できるよう、その設計を管理することである。設計開発の計画に注目し、設計のインプットを確認し、設計のアウトプットを作成し、設計をバリデートし、設計変更を管理し、設計結果のレビューを行なった上、設計成果を製造に移転し、設計履歴ファイルを完成させることが、頭書のニーズ、使用目的、及び特定の要件に合致することになる。

             <設計監理におけるチェック項目>
img_qsit_3

是正・予防措置

顕在する問題を取り扱うのは Corrective Action(是正措置)であり、潜在する問題を取り扱うのが Preventive Action(予防措置)である。

(1)是正・予防措置におけるチェックポイント
・不適合の調査/ 問題解析がなされているか
・有効性の評価:不具合を正し、再発を防止する活動がなされているか
・実施前の検証は十分か
・文書化と経営陣によるレビューが実施されているか

(2)CAPAの検討資料
CAPAは下記に示す資料を基本により詳細を検討する
・MDR: Medical Device Reporting    重大事故報告書
・Reports of Correction and Removals   改修および回収報告
・Medical Device Tracking           医療機器トラッキング
これらのデータを使用する場合はサンプリングを用いることが推奨されている。

製造工程管理

QSITでは例として滅菌工程を示しているがこれに限るものではない。
製造工程の査察の目的としては以下の項目が挙げられており、これらの内容の審査のための工程を選択する。滅菌工程がある場合はQSITに記載された滅菌工程の手順に従い評価する。
なお、工程の問題の把握については監視や管理の記録が含まれるDHRのサンプリング表を用いることが推奨されている。

・工程に問題がありCAPAの指標となるような工程
・よりリスクの高い医療機器の製造工程がある工程
・製品欠陥の原因となる、工程のリスクの程度が高い工程
・その製品に対する、その企業の熟知及び経験が不足している工程
・複合製品の製造プロセスに多様性がある工程
・直近の査察で確認されなかった工程

まとめ

QSITの特徴(従来査察との相違点)をまとめると以下のようになる。

査察の方法
・トップダウン(ボトムアップに対して)
・記録のサンプリング(テーブルを使用)
・検査前活動(文書の要求とレビュー)
・開始と終了時のマネージメントの参加

検証事項:マネージメントは適切かつ効果的な医療機器提供を成し遂げたことを保証する。
システムを構築しそれが機能しているかどうかが査察の焦点となっている。

査察効率
・FDAにも査察を受ける側も査察の効率改善になっている。つまり査察の質を落とさず時間が短縮される。

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医薬品・医療機器の査察指摘事項と対策
ヘルスケア産業では、品質を確保する活動としてGMPやQMSがあり、これらは法規制の対象ともなっています。
規制当局も含んだ国際標準化の活動においては、医薬品や医療機器に共通して品質システム(品質マネージメントシステム)の重視が明らかな特徴となっていると言えます。

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藤田 雄一
藤田 雄一
ビジネスエンジニアリング株式会社
アンモニアやエチレンなどのプロセスや原子力電力・再処理施設、遊園地などの設備の計装・制御設計を経て、ヘルスケア業界におけるPLC、DCS、MESやERPのコンピュータバリデーションを担当し現在に至る。
ISA日本支部会員、ISPE日本本部GAMP COP会員 元副委員長