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コラム

企業変革

ものづくりのDXを加速する「共創」とは

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欧米諸国と比較し、日本では企業内IT人材の不足が目立ちます。しかし、事業継続のカギであるDXは実現しなければなりません。本コラムでは、この実情を踏まえ、ユーザー企業とIT企業がともに持つべき姿勢「共創」について解説します。

IT人材が企業内にいない

コロナ禍でテレワークシフトやペーパーレス化によるハンコ文化から脱却、リモート化による効率化が進んだ企業は多いと思います。突如として起きたパンデミックから経営者が学んだことは、環境変化に適応しなければ生き残れないこと、それにはデジタル化が必須であること、顧客から選び続けられるためにはデジタルトランスフォーメーション(以下DX)が必要だということです。しかし、経営トップが号令をかけても推進役であるIT人材がおらず、DXが進まない企業がほとんどです。
IT人材の7割がユーザー企業内に確保されている欧米に比べ、日本は7割がITベンダーに従事しており、IT人材が企業内にもともと少なく、デジタル競争に後れをとっている原因の1つと言えます。教育機関でのカリキュラムの設置、政府の補助金などの公的な施策やユーザー企業内での人材育成施策など多方面でこの問題に立ち向かっていますが、育成には時間がかかるため、ユーザー企業においては中期的に取り組まざるを得ない課題と考えます。
そこで、企業のDXを推進していくためには、IT人材の7割を占めるITベンダーの役割が非常に重要になってきています。

 

望まれるITベンダーの役割変化と顧客企業の認識変化

2020年12月28日に経済産業省が発表した『DXレポート2(中間取りまとめ)』に、ITベンダーが目指すべき方向性が下記のように言及されています。

  •  ・現行ビジネスの維持・運営(ラン・ザ・ビジネス)から脱却する覚悟を持ち、価値創造型のビジネスを行うという方向性に舵を切るべき。
  •  ・ユーザー企業とDXを一体的に推進する共創的パートナーとなっていくことが求められる。
  •  ・また、ITに関する強みを基礎として、デジタル技術を活用して社会における新たな価値を提案する新ビジネス・サービスの提供主体となっていくことも期待される。

つまり、顧客企業の仕様に基づいてITシステムを設計開発する受託型ビジネスだけでなく、顧客のビジネス変革を支援・推進するパートナーとして役割を担うことがITベンダーの新たな価値となります。また、顧客企業側のITベンダーに対する認識を改めることも必要です。顧客企業とITベンダーが手を取り合い、相互がWin-Winの関係を築くことが日本型のDXと考えます。そのためには、顧客企業とITベンダーの双方が変革する必要があります。

下記に共創を実現するための3つの視点を整理しました。

3steps

 

顧客企業は、共創を進めるために信頼できるITベンダーを選択し、ITベンダーはその顧客ニーズに自らの変革をもって対応していくことが更に重要になると考えます。

 

価値創出のポテンシャルが高い「顧客接点のデジタル化」

加えて、レポートではコロナ禍であってもDXを加速させるアクションとして下記4点を挙げています。

  1.  ①業務活動のオンライン化
  2.  ②従業員の安全・健康管理のデジタル化
  3.  ③業務プロセスのデジタル化
  4.  ④顧客接点のデジタル化

①業務活動のオンライン化②従業員の安全・健康管理のデジタル化 は、コロナ禍ではもはや当然のこととして求められ、ほとんどの企業で実現されています。また、長年の課題となっている人手不足を解消するため、③業務プロセスのデジタル化 へは経営資源が投入されています。 ①~③は企業内の取り組みに対し、④顧客接点のデジタル化 は、外部への働きかけであるため、優先順位が低くなっていますが、最も価値創出のポテンシャルが高いのは④です。

 

ユーザー企業とIT企業の「共創関係」が日本型DXを推進する

製造業のDXの例として挙げられる「コト売り」や「サービスモデル」といった新たな価値創造が④に該当します。
例えば、ユーザー企業である製品メーカーの工場向けに設備を納入している企業が、新たにサービスビジネスを構築するにもユーザー企業との共創関係は必要になってきます。

ユーザー企業(使用者)⇐(共創)⇒ 設備メーカー(製造者) ⇐(共創)⇒  ITベンダー(DX支援)

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デジタルを活用することでこれまで繋ぎづらかったものが容易になり、企業を跨ぐバリューチェーンも繋げられるようになりました。このバリューチェーンを広げていくことで共創のチェーンも同時に広がってきます。さらに広がりがネットワーク化すれば、自ずとDXのためのビジネスプラットフォームが確立してくると考えいています。特に、中堅中小企業が企業数比で99%、従業員比で70%を占める日本の産業構造を考え、質の高いものづくりを新たな価値へ昇華するためには、系列に代表される多重的な階層構造を見直し、枠組みを超えた横連携が、日本型DXの成功の1つモデルと考えます。

ビジネスエンジニアリングでは、共創のために必要な自社製のソフトウェアを提供することでDXのスピードに対応しつつ、顧客の競争領域をカスタマイズするエンジニアリングを組合せることによりワンストップでご支援させて頂いています。

 

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川口スプリング製作所は「mcframe SIGNAL CHAIN」を組み込んだ自動塗装設備ラインを提供し、製造メーカーの品質歩留まりを向上させる取り組みを開始しました。ユーザーとITベンダーの垣根を超えた「共創ビジネス」モデルです。

2021年05月26日発表のプレスリリース記事はこちら

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志村 健二
志村 健二
1990年 東洋エンジニアリング株式会社に入社。化学プロセス設計と制御設計を担当。 1999年 IT会社として独立したビジネスエンジニアリング株式会社に異動。 以後、製造業の基幹システムの構築に携わる。 2012年 ビックデータ関連の新規事業の開発ため、新組織を立ち上げ。 IoTを活用した「ものづくり」のデジタル化を推進する事業を牽引し、グローバル市場においても確実に成長させてきた。化学プロセスの専門性とIT/IoTの導入経験をもとに、ものづくりにおけるデジタル変革を“現場”と“経営”の双方の視点で支援している。