シングルウィンドウは、各国の貿易手続きを、単一の総合窓口で取り扱うことによる、輸出入手続きの円滑化を目的としています。各国のシングルウィンドウが、連結されることで、強力な仕組みが構築できます。本コラムではASEANの先駆的な例を紹介します。
「シングルウィンドウ」という言葉は、兼ねてからよく聞く言葉となっていると思いますが、ロジスティックスに直接関わっている方々は別として、それがクローズアップされて議論の対象となることは、めったにありません。
確かにシングルウィンドウという言葉そのものは、図1のように、貿易手続きが単一の総合窓口で取扱われることにより、そこにアクセスし、当該貨物のデータを入力すれば、必要となるほとんどの貿易関連手続きに関するデータがシステム的に使い回され、手続きの結果も担当当局から同じシステムを通じて通知されるという、往きも返りも情報のルートが一本化された状況を表現した言葉です。従って、国内輸出入手続業務を対象としたネーミングと言えます。 企業の中でもロジスティック関連の部門に通関士が存在し自社通関するケースを除いて、多くの企業では、貿易手続業務を外部専門業者等に委託しています。そのため、シングルウィンドウへの関心が、今一つ高まらないという状況にあると推測されます。
日本のシングルウィンドウはNACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)です。第5次更改が行われて以来、輸出入の荷主もNACCSの利用者となり、貨物のハンドリングを行うフォワーダー等への貨物積卸業務に係る指図がNACCSを通じて行えます。即ち従来、メッセージの宛先毎に個別に、システム連携、メール添付等のインターネット利用、文書郵送で連絡していた指図内容を、一元的にNACCSに伝送しておけば、後続業務はオリジナルのデータがフォワーダー等により使い回されて進行し、マンパワーの節約など種々の利点が得られる状況となっています。
<図2:海上貨物の輸出入等関連手続イメージ 出典:輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社>