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コラム

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製造業:今から始めるSAP Business AI


今から始めるSAPBusinessAI-TOP

「AIを業務で活用しよう」という掛け声はあちこちで聞こえますが、実務を担うSAPユーザーの皆様にとっては、「どこから手を付ければいいのか」「自社の業務に本当に役立つのか」という戸惑いも大きいのではないでしょうか。
2026年7月に開催された「SAP NOW AI Tour TOKYO2026 」にて、B-EN-Gは『製造業:今から始めるSAP Business AI』と題した講演を行い、SAP標準のAIアシスタント「Joule(ジュール)」を用いて解決する業務シナリオ例などを取り上げ、この問いに対する明確な答えと具体的なロードマップを提示しました。

本稿では、無償で手軽に始められる標準AIの活用法から、B-EN-Gのモノづくりの知見を詰め込んだ独自開発のカスタムAI「Watchdog AI Agent」の検証事例まで、現場が今すぐ取り組めるSAP Business AI活用へのステップを余すところなくご紹介します。

 

SAP Business AIの「3つのアプローチ」と無償標準AIによる第一歩

SAP Business AIは、システム構造やコストに応じて大きく3つのカテゴリーに分類されます。

■SAP Business AI 3つの種類

SAP Business AI 3つの種類
 
AI活用による業務変革を成功させる秘訣は、まず「無償」の「ベース AI」で日常の“低付加価値タスク”を減らし、小さな価値を検証することから始めるスモールスタートです。

 

Jouleが解決する「探す・待つ」時間の削減

講演では、Jouleを活用した2つの実演デモ動画を投影しました。

デモ①:AIアシスタントによる「探す」の効率化

従来は、ERPから目的のデータを抽出するために、どの画面を開き、どのフィルターをかければいいかを覚えておく必要がありました。Jouleの「AIアシストエンタープライズサーチ」や「AIアシスト簡易フィルター」を使えば、SAP Fiori画面上で「期限切れ価格の表示」などと自然言語で入力するだけで、Jouleが自律的に適切なデータをナビゲート・抽出してくれます。

 

デモ②:購買発注の「承認リマインダー」自動化

購買発注の伝票が上長の受信箱で滞留し、納期の直前まで気づかないという課題は多くの現場で発生します。Jouleに「承認プロセスが進んでいない購買発注伝票を教えて」とチャットで依頼すると、滞留伝票を即座に一覧化します。さらに、その承認者が誰であるかを特定し、Outlookを立ち上げて「ドラフト承認依頼メール」を自動作成するまでを一気通貫で実行できます。

 

小さく始めて価値を確かめる

下記のような、日常の「探す」「待つ」といった作業をAIに代替させるだけで、業務効率は飛躍的に向上します。

AI活用の入り口

断片的な引継ぎであったり、判断承認に時間がかかっている業務、手作業によって価値が目減りしている業務を洗い出し、どのAIがどの権限を持って実行したかを追跡可能な形で範囲を小さく検証するアプローチをお勧めします。

今後ますますAIが自律性をもって動けるようになっていく将来、SAPアプリのプロセスとデータに密接して動く設計をとることで、統制や監査面をクリアしながら業務を効率的に回していくことができます。 

 

カスタムAIの例)
人が介在する業務の死角「処理漏れ(空白データ)」を救う、「Watchdog AI Agent」

無償のベース AIで効率化を実感した次のステップが、有償の標準機能「プレミアム AI」や「カスタムAI」の導入です。
カスタムAIは、自社固有のルールや判断基準を柔軟に組み込み、システム内外のデータを繋いで判断から実行まで自律的に完結させることができます。

B-EN-Gでは、カスタムAIを使ってアプリを独自開発しました。それが製造現場の「静かな業務リスク」に着目したWatchdog AI Agent(番犬AI)」です。

watchdog AI Agent

従来のERPやシステムは、画面に「入力された」データの異常値や整合性エラーを検知するのは得意です。しかし、「人が入力自体を忘れてしまった」「他部署や取引先からの請求書が届かず未登録のまま放置されている」といった、システム上にそもそもデータが「存在しない」状態(処理漏れ・空白データ)を自律的に検知することは困難でした。
この空白データを放置すると、生産計画の狂いや手戻り工数の激増、さらには決算の大幅な遅れといった重大な損害につながります。
「Watchdog AI Agent(以下、Watchdog AI)」は、過去の取引実績や業務ルールを学習し、「本来あるべきデータ(期待値)」を推論した上で、現在のERPの実績データと比較します。浮き出た差分から、未処理の可能性を自律的に検知して提示します。

【実演デモ】会計領域での仕訳登録漏れ検知

経理担当者がWatchdog AIの対話画面で「計上漏れがないか確認して」と指示を出すと、AIがシステムから仕訳漏れ候補を検知して瞬時に提示します。担当者がそのまま「伝票案を作って」と依頼すると、過去のデータを参照して正確な仕訳案を自動起票します。内容に問題がなければ、伝票の登録から上長への承認依頼(50万円以上の場合は承認ルートを自律判断)までをAIがすべて先回りして実行します。 こうして請求書受け取り漏れや計上漏れを防ぐのです。

 

製造業の現場を強力に支援する3つのユースケース

「存在しないデータを推論・検知する」という番犬(Watchdog)の思想は、会計のみならず、製造や購買、設計といった製造業のコア業務においても展開が可能です。展開が見込めるユースケースを3つご紹介します 。 

1. 需要計画の入力漏れ防止

需要計画をシステムへ手入力、あるいはExcelでアップロードする際、ファイルの不備や行の抜けによって一部の需要が登録されないことがあります。システム上に計画が存在しないため、気づかないまま進むと、後から欠品や大幅な機会損失が発生します。
Watchdog AIは、過去の実績や季節トレンドを学習します。例えば「毎月1,000個生産されている定番品の来月の需要計画がゼロ」といった不自然な空白を検知し、計画担当者に先回りして登録漏れの警告と確認を促します。 

2.製造実績の入力漏れ防止

現場で切削や組立、検査が完了しているにもかかわらず、端末への完了入力が漏れていると、ERP上は指図が未完成のままになり、正しい進捗確認や生産計画ができなくなります。
Watchdog AIは、製造指図の開始日・終了予定日、工程ステータスと、実績入力の有無を自動で照合し、終了日を過ぎても実績がない指図を見つけ「完了していますか?」と現場へ確認を促し、現場とシステム上の進捗のズレを即座に解消します。
 

3. 設計変更に伴う部品表(BOM)の更新漏れ防止

 設計変更(部品A→部品B)の指示がメールや図面で届き、製造や購買の現場では新部品を使い始めているのに、ERP上のマスタ(BOM)だけが古い部品Aのまま放置されるケースです。これは部門を跨ぐがゆえに非常に発生しやすい処理漏れです。
Watchdog AIは、「部品Aの定期発注がストップし、予定外の部品Bの手配が続いている」といった購買や現場の『行動変化』を監視します。マスタ更新が漏れている可能性を突き止め、設計・購買部門へ「恒久的なBOM変更が登録されていません」と先回りして警告します。これにより、誤発注や品質情報の不整合を防ぎます。
 

 

AIを「道具」から「心強い相棒」へ

SAP社からは現在、400を超えるAIエージェントや機能が公開されています。B-EN-Gではこれら標準AIの「正確性」「文脈理解」「安定性」などを複数の観点から独自に検証・スコア化しており、お客様のどの業務にAIが適用できるかの評価サービスも提供しています。

AIはもはや、人間が操作を指示するだけの単なる「ツール」ではありません。システムの内外を飛び回り、現場を陰から見守る「心強い相棒」となって自律的に業務を完遂する時代が、まさに今訪れています。

「まずはAIを試してみたい」「自社の現場業務でどんなAI活用ができるか議論したい」という企業の皆様は、モノづくりの「想い」に寄り添い、粘り強くその実現を支え続けるB-EN-Gへ、ぜひお気軽にお声がけください。

 一緒に、AIを活用した新しい業務変革の第一歩を踏み出しましょう!

 

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1991年に日本初のSAPパートナーとなり、1993年に国内第一号SAPユーザーへの導入を実現して以来、ERP導入支援を中心にSAP関連事業を推進し、多くのお客様からの信頼を得ています。
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