MES(製造実行管理)導入の勘所 第4回
ERPと比較して製造実行管理システム(MES:Manufacturing Execution Management System)導入の公表事例は少ないため、「何を準備したらよいでしょう?」というお問い合わせが弊社に入ります。それにお応えして、本コラムシリーズでは、TOPICを絞ってMES導入の準備について解説します。
前回は、サプライチェーンの視点から「ERPとMESはどちらを先に進めるべきか」について解説しました。今回は、エンジニアリングチェーンの視点に立って「PLMとMESはどちらを先に進めるべきか」を解説します。
PLMはマスタ、MESはPLMのマスタを見て動く
PLMシステム(Product Life Management System、以下PLM)に馴染みがない方もいらっしゃると思うので、先にPLMについて少し触れます。
PLMは、製品の企画、設計、製造、販売、保守までの全工程を一元管理する仕組み、考え方を指します。PLMを導入することでデータの共有が可能になり、生産の効率化によりコスト削減を実現し、市場投入期間を短縮し、需要に対する迅速な反映が実現できます。機能としては、ドキュメント・図面・部品・工程などの情報を管理するほか、ワークフロー機能、各プロダクト間のコラボレーションを促進する機能などが提供されています。
これまで述べてきた、ERP、MESとPLMの関連を簡単な図にしてみました。
PLMは、MESが必要とするM-BOM(Manufacturing Bill Of Materials:製造部品表)やBOP(Bill of Process:製造工程表)を管理する親玉と言えます。PLMが入っていない現場では、これらマスタを各工場独自で管理していることが多く、工場ごとにマスタの粒度や構造が異なっている可能性があります。そうなるとMES導入時にマスタの整合を行うか、あきらめて工場個別のMESを構築することになってしまいます。
これらの障害をあらかじめ取り除くために、PLMの導入を先に行い、全社共通の観点でマスタ整備を先に行う進め方が良いでしょう。
PLMについては、設計部門、製造部門、購買部門などが関係するため、その導入は組織横断で協力し合いながら進めることが必要です。
このシリーズではこれまでMESから見て上位システムにあたるERP、PLMとの関連について述べてきました。
シリーズ最後となる次回は・・・
「設備との連携」についてです。