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コラム | MES(製造実行管理)導入の勘所 第6回 | {{ site_settings.logo_alt }}

作成者: 菊地正晃・畠中謙太|Dec 18, 2024 3:24:45 AM

 

第6回「スモールスタート」

本コラムシリーズは第5回目「設備との連携」を最後としましたが、私共のMES導入セミナーでお客様から「スモールスタートで始める場合どのような方法がありますか」との質問を受けました。どこから手を付けるかは、非常に重要な選択だと感じましたので、第6回として話題にしたいと思います。

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スモールスタートについて

MESを導入する場合、対象工場の全品種を対象に、必要な全機能を網羅したMESを一括で導入する方法がありますが、費用、スケジュールともに大きくなり、かつ業務インパクトも大きく、失敗した場合のリスクが非常に大きくなります。これを避けるために、範囲を縮小したスモールスタートをとることもあります。スモールスタートを考える場合、製造・在庫といった業務範囲で絞る場合と、品種・ライン・工場といった製造対象範囲で絞る場合の2パターンがあります。

スモールスタートその1 業務範囲の絞り方

MESのカバー範囲はとても不明確であるため、本社生産統括部門、IT部門、工場など、それぞれが異なる要求を持つことが多くあります。これらをすべて受け入れると非常にコストがかかります。これを防ぐために、何らかのガイドラインを基に、MESの範囲を決め、その中で優先順位をつけて導入していくのが良いでしょう。
図は、ダッソー・システムズのMES「DELMIA Apriso」の機能構成です。Aprisoでは大きく、製造、品質、在庫、保全、従業員という機能を定義しています。

 

 

このような機能単位で、優先度をつけた導入を検討されることも一つの方法です。なお、当社で導入する場合、製造領域を第一優先とする進め方をお勧めしています。工場業務の根幹は製造業務です。まずはココをしっかり固めてから機能展開する方法がベストです。

スモールスタートその2 製造対象範囲の絞り方

複数拠点でMESを導入し、全社で標準化を図りたい場合、どこから始めればいいのか、悩みどころです。
お客様からのご要望として多いのは、「主力の製品を作っている工場やラインを優先したい」というものです。注目度の高い工場にMESを導入して効果をあげれば、知名度も上がるし他の拠点に展開しやすい、という狙いは理解できます。しかし、実際は、ラインにしても工場にしても、手戻りなくスムーズに展開したい場合、共通の業務が一番多い品種と場所から進めていくことをお勧めします。

すべてのMESがこのような構造でできるとは限りませんが、このように展開していく方が効率的に進められます。 現実には、「新工場をデジタル化のモデルにしたい」「従来使っていたMES領域のシステムがホスト保守切れで先に対応しなければならない」などの諸般事情で理想的な順番にはならない、というケースも多々あると思いますが、改めて、スモールスタートをお勧めする理由を述べます。

 

要件漏れが未然に防げるスモールスタート

例えば1つ目のラインで、ある機能を導入する、としましょう。次のラインに導入するときには、現場で新しく利用する予定の人達は、実際に導入されたシステムの画面や業務プロセスの流れを見ながら、自分たちの現場に導入されたときにどうなるのか、具体的なイメージが湧きます。利用する際に課題となりそうなこと、例えば今の業務プロセスにはシステムに存在するチェック作業がなく、誰がいつどうするかなど、議論すべきことが事前にわかります。システムの画面で利用されている言葉が業務とセットになっているので、意味の取り違えが発生しにくく、結果として要件漏れが生じにくくなるのです。画面レイアウトも存在しているものからアレンジしていくような形になるので、画面も操作もイメージしやすく、まさに、百聞は一見に如かず、です。
導入時だけでなく、導入後の運用を考えても、メリットが十分にあります。

スモールスタートのデメリットにも注意が必要

いいことばかりのスモールスタートですが、マイナス面もあります。全体最適の観点で要件・機能設計がしずらいことやスコープ拡大過渡期の運用や機能定義、移行の検討がいることなどです。スモールスタートのメリットデメリットを比較しながら、方法を検討することをお勧めします。

 

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