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コラム |第4回: 顧客マスタの主要な論点とは?| {{ site_settings.logo_alt }}

作成者: 加藤義弘|Apr 14, 2025 12:09:04 AM

 

前回は、マスタデータとMDMアーキテクチャについてご紹介しました。

MDMでは組織内で使用される様々なマスタデータが管理対象となりますが、その中でも特に顧客マスタは多くの企業において中核のマスタとなります。しかし、その設計や運用には多くの論点があり、それぞれでどのような対応をとるか、選択肢があります。

今回は、顧客マスタにおける主要論点を取り上げ、それぞれのポイントを解説します。


法人顧客と個人顧客の統合・分離

受注・出荷・請求など顧客を相手として行う業務においては、法人顧客も個人顧客も、同じ顧客として扱う場面が多くあります。一方、法人のデータと個人のデータでは、発生・登録の仕方や管理属性などが異なります。法人顧客と個人顧客を全く別のマスタとして扱うか、同じ顧客マスタの中でそれぞれの属性を持たせるかを検討します。



顧客と仕入先の統合

顧客マスタと仕入先マスタは、データの内容も使用する業務部門も異なるため、別マスタとして存在することがよくあります。しかし、同一の法人が顧客であり仕入先でもあるという状況をそれぞれ異なる担当者が把握し、業務で考慮する(顧客としても取引のある仕入先に対して優先して発注したり、債権債務の相殺をして銀行手数料を節約したり)場合には、両者を統合する、もしくは紐付けを行っておく必要があります。



見込顧客と既存顧客の扱い

見込顧客データは主に営業やマーケティング活動に使用されるため、タイムリーな情報更新が求められますが、情報の粒度が荒く正確性が低い場合があります。一方で既存顧客データは契約情報や取引履歴などの正確で詳細な記録が重視されます。
これらの特性を踏まえ、それぞれ独立しデータを管理するか、一つの顧客マスタ内で「ステータス」などの属性で区別するかを検討します。



直接販売顧客と間接販売顧客(卸や代理店等経由)の扱い

間接販売先を顧客マスタに含めることでエンドユーザーの把握が可能になりますが、情報の正確性を保つためには、卸や代理店との連携が必要です。一方、直接販売先に限定した場合は管理がシンプルになりますが、マーケットの全体像を捉えることが難しくなります。
また、直接販売顧客と間接販売顧客の間の関連や商流も合わせて管理する場合は、ツリー構造などの複雑なデータモデルを検討する必要があります。



法人顧客の管理粒度(企業グループ/法人/事業所等)

法人顧客データを企業グループ単位、法人単位、事業所単位のどの粒度で管理するかも、データ設計の重要なポイントです。企業グループ単位での管理は、マクロ的な分析やグローバルな取引戦略に適しています。一方で法人単位や、さらに事業所等の単位での管理は、より詳細な現場レベルの運用で必要になります。
これらの階層・粒度それぞれ別のマスタとするか、汎化して同一のマスタの中で扱うか、更にツリー構造として管理するか否かが論点となります。



受注元/配送先/請求先等の管理方法

顧客マスタにおいて、受注元、配送先、請求先といった役割の付与・管理も、データモデル設計の重要な課題です。
通常では一つの顧客事業所が取引毎に別の役割を担うことが考えられるため、複数の役割を持てるようなデータモデルとする必要があります。



上記の他にも、顧客マスタには様々な論点が考えられますが、最終的にはこれらの論点での検討結果を統合し、一つのデータモデルにまとめ上げる必要があります。自社のビジネスモデルや顧客構造、事業環境を深く理解し、柔軟かつ持続可能なデータモデルを構築することが重要です。

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